皆様、こんにちは。葛西屋呉服店 七代目店主の中山晃一です。
今年も残すところあとわずかとなりました。12月26日、松戸の街もすっかりお正月を迎える準備で活気づいていますね。新しい年の幕開けとなる「初詣」や「年始のご挨拶」は、日本人として背筋が伸びる思いがするものです。そんな特別な日を、今年はぜひお着物で迎えてみませんか。
今回は、当店が大切にしている「用の美(生活に根差した美しさ)」の視点から、新春の装いを彩る帯の選び方をご紹介いたします。
初詣や式典にふさわしい「格調」を纏う
初詣など、神聖な場へのお出かけには、やはり格調高い装いがふさわしいものです。
- 袋帯(ふくろおび) 現代の礼装において、留袖や訪問着に合わせる主流となっています。特に金銀糸をふんだんに用いた古典柄や、能装束の意匠を写したものは、新春の光の中で圧倒的な気品を放ちます。
- 唐織(からおり) 刺繍のように見える豪華な浮き織が特徴です。色無地に合わせるだけでも、ぐっと格を添えた改まった着こなしになります。
- 佐賀錦(さがにしき) 経糸に金銀の箔紙を用いる日本独自の技法です。派手すぎず洗練された慎み深さがあり、最高級の訪問着や留袖に最適です。
親しい方との集まりには「季節感」と「遊び心」を
新年会や気軽なご挨拶には、少し軽やかな帯選びで個性を演出しましょう。
- なごや帯 お太鼓が一重になるため、軽便で扱いやすいのが魅力です。特に、塩瀬地に松などの正月らしい風物を描いた「染め帯」は、後ろ姿に叙情的な「顔」を作り、季節を愉しむ心を感じさせてくれます。

- 引箔(ひきばく) 金箔を緯糸として織り込んだ帯は、光沢が美しいだけでなく、かさばらずにしなやかで締めやすいという利点があります。長時間歩く初詣などでも、疲れにくいのが嬉しいポイントです。
「着慣れる」ことが、一番の美しさへの近道
お正月に久しぶりに着物を着るという方に、ひとつアドバイスがございます。着物は「慣れる」ことが非常に大切です。
せっかくの晴れ着も、所作がぎこちないと美しさが半減してしまいます。本番の前に一度袖を通し、少し家の中で過ごしてみるだけでも、当日の足さばきや立ち居振る舞いが驚くほど自然になります。
180余年の歴史とともに、皆様をお迎えします
葛西屋は天保10年(1839年)の創業以来、この松戸の地で皆様のハレの日を見守ってまいりました。店内には明治から昭和初期の歴史を感じる「蔵の記憶」も展示しております。
お正月に向けて、帯合わせのご相談やお手入れなど、気になることがございましたらぜひお気軽にお立ち寄りください。
新しい年が、皆様にとって着物のように彩り豊かな素晴らしい一年となりますよう、心よりお祈り申し上げます。
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