かさいやブログ

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葛西屋七代目当主が定期的にお送りする徒然日記

2026.02.20

【仕立て直し事例】想いを受け継ぐ、色を育てる。薄紫から「理想のチャコールグレー」へ

こんにちは、松戸の葛西屋呉服店です。

本日は、お客様からご相談いただいた「着物の染め替え」の素敵なエピソードをご紹介いたします。

似合う色へ、私らしい色へ

今回ご相談をくださったのは、ご親戚から美しいお着物を譲り受けたお客様。

「せっかくの頂き物だけれど、今の私にはこの薄紫が少し似合わない気がして……」というお悩みでした。

そこで、今のライフスタイルや好みに合わせて「色を染め替えて、長く着られる一枚にしよう」というリフォーム計画がスタートしました。

「茶色」から「チャコールグレー」へのこだわり

当初、お客様のご希望は「茶色」でした。

しかし、職人さんいわく「茶色は絶妙な加減で表情が変わるため、理想の色を出すのが非常に難しい」という奥深い色。

そこで、染め屋さんとお客様、そして私共で何度もやり取りを重ねました。

その対話の中で、最終的に辿り着いた答えは、都会的で洗練された「チャコールグレー」でした。

イメージを伝える「一枚の端切れ」

言葉だけで色のニュアンスを伝えるのは、プロでも難しいものです。

今回は、イメージをより正確に共有するため、葛西屋の社長が愛用しているお召(おめし)の端切れをサンプルとして添え、「この色に近づけてほしい」と職人さんに託しました。

こうした「現物の見本」があることで、職人さんも迷いなく、お客様の理想を形にすることができたのです。

「着物丸ごと染め」の挑戦

通常、染め替えは一度解いて「洗い張り」をしてから行いますが、今回はコストや工程を考え、解かずにそのまま染める「丸ごと染め」を選択しました。

「丸ごと染め」は、八掛(裏地)まで同じ色に綺麗に染まるメリットがありますが、一方で生地にスレが出る可能性もある、非常に技術を要する作業です。

職人さんとの丁寧な連携により、スレも抑えられ、裏表が美しく統一された見事な仕上がりとなりました。

お客様だけの「新しい一枚」の完成

出来上がったのは、凛とした気品漂うチャコールグレーのお着物。

お客様からも「お願いして良かった!」と大変お喜びいただきました。

【今回のリフォームのポイント】

• 端切れでイメージを共有: 具体的なサンプルがあると、理想の色への近道になります。

• 納得いくまで対話を: 染め屋さんと密に連絡を取り、後悔のない色選びをサポート。

• 八掛も一体に: 丸ごと染めることで、今の自分にぴったりのトータルコーディネートに。